アメリカの実力を思い知らされる「風と共に去りぬ」2013年04月30日 08時56分58秒

恋愛ものの映画はほとんど見ませんが、名作中の名作映画として認めざるを得ないのは「風と共に去りぬ」(Gone with the Wind、1939年)です。ただの恋愛ものではなく、大河時代小説の映画化ですから、そのスケールの大きさに惹きつけられてしまうのです。

主演のスカーレット・オハラ役のヴィヴィアン・リーは高慢な、しかし強い女性を演じ切りますが、まさにはまり役であり、その美しさはさすがに大女優です。そして、相手役レット・バトラー(クラーク・ゲーブル)の気障な、しかし男らしく、哀愁を漂わせた演技も素晴らしいものです。メラニー役のオリヴィア・デ・ハヴィランドも絶世の美女で、役を見事に演じています。アシュレー役のレスリー・ハワードはスカーレットの初恋の相手であり、ずっと恋いこがれるという役なのですが、これはいまひとつピンと来ませんでした。

圧巻は北軍の攻撃で燃え上がるジョージア州アトランタ(南軍の本拠地)から、レットの馬車に乗って、スカーレットが脱出するシーンでした。とうぜんフィルムの撮影であり(テクニカラー)、なんのからくりもない炎上シーンの息を飲むほどの怖ろしく美しいシーン。そして、故郷タラで、レットがスカーレットの元を去って行くシーン。最後にスカーレットが、「(私には)明日という日がある」と言うシーンです。

日本との太平洋戦争が始まってから製作された映画ですが、その圧倒的な資金力を目の当たりにした山下奉文司令官は「これでは我が国は勝てない」と言った、というエピソードが残っていますが、これは作り話でしょう。しかし、日本軍の司令官がそう思ったとしても不思議ではないだけのパワーを持った大作です。