初回と第二作がやはり面白い「ダーティーハリー」2023年01月03日 16時46分01秒

 クリント・イーストウッドはテレビ映画「ローハイド」で有名になり、その後マカロニウエスタンの「荒野の用心棒」や「夕陽のガンマン」もヒットしましたが、いまひとつメジャーにはなれませんでした。そのイーストウッドの名前を不朽のものにしたのが「ダーティーハリー」("Dirty Harry",1971年)でした。サンフランシスコ市警殺人課の型破りな警部ハリー・キャラハンを主人公にしたシリーズものです。この映画のヒットで、監督のドン・シーゲルも一躍有名になりました。シーゲルはスティーブ・マックイーンの「突撃隊」やリー・マーヴィンの「殺人者たち」も監督していますが、いまひとつパッとしませんでした。ところがこのコンビによる「ダーティー・ハリー」シリーズは大ヒットし、ハリーが愛用しているS&WのM29(.44マグナム)リボルバーも売れに売れたのでした。このシリーズでも第一作と第二作がとくに傑作です。

 この第一作ではハリー刑事が殺人鬼スコルピオ(アンディ・ロビンソン)と対決するストーリーですが、それに至るハリーの行状が大きな伏線となっています。つまり、ハリーは職務のためなら、ためらわず発砲する警官なのです。銀行強盗に出くわしたハリーは強盗犯の運転手を射殺し、実行犯を追い詰めます。そこで、ショットガンを取ろうとする強盗に向かって拳銃を突き付けながら、「これは44マグナムと言ってな、世界最強の拳銃さ。でもな、弾丸を撃ち尽くしたかどうか、数えていないんだ。そこでお前は考えてるよな。オレはラッキーかどうかって。やってみるかね、このクソ野郎!」そしてクライマックスで、ハリーが幼稚園のバスをジャックしたスコルピオを追い詰めて、同じセリフを吐くのでした。ちなみに、スコルピオが最後に手にする拳銃はドイツのワルサーP38で、アメリカ製のS&Wが正義の味方、ドイツのワルサーが悪役というのを象徴していました。

 拳銃がさらにクローズアップされるのが第二作の「ダーティーハリー2("Magnum Force"、1973年)です。タイトルの「Magnum Force」とは「マグナム軍団」ということで、私刑を実行する白バイ警官たちがすべてコルト・パイソン.357マグナムリボルバーを所持しているからです。この白バイ警官隊のリーダーがデイヴィス(デビッド・ソウル)で、デビッド・ソウルはテレビ映画の「スタスキー&ハッチ」でもコルト・パイソン.357マグナムを使用しています。この白バイ警官隊の黒幕がブリッグス警部補で、名優ハル・ホルブルックが演じています。

 この「ダーティーハリー」も第三作になると、テロリストがM16自動小銃、ハリーは最後にはM72対戦車ロケットなどを使用し、かなりリアリティーが薄れてきます。やはり、第一作と第二作がよかったですね。

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