後味の悪さだけが残る「エネミー・ライン」2013年05月02日 13時48分19秒

「エネミー・ライン」(Behind Enemy Lines、2001年)は見終わって、爽快感がまったくなく、後味の悪さの残る戦争映画でした。ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争を背景にしたものですが、荒唐無稽さばかりが目について、映画を楽しむことができませんでした。

主人公クリス(オーウェン・ウィルソン)はアメリカ海軍の最新鋭戦闘攻撃機F/A-18Fの火器管制官でパイロットとともに、原子力空母カール・ビンソンから発艦して、ボスニア上空の哨戒活動に出発します。しかし、ボスニア上空でセルビア人武装勢力のSAM(対空ミサイル)により撃墜されてしまいます。このSAMの機動性がまずあり得ないのですが、まあそれはよしとしましょう。墜落したF/A-18Fから脱出した二人ですが、負傷したパイロットは武装勢力に追いつかれ、射殺されてしまいます。

クリスは必死に逃げ、セルビア人武装勢力の狙撃手や兵士達が後を追います。虐殺されたクロアチア人たちの死体の真ん中に落ちてしまったり、地雷原で身動きがとれなくなりながら、必死に逃げるのです。クリスから連絡を受けているレイガート司令官(ジーン・ハックマン)が救出に向かわせようとするのですが、和平終結を優先するNATO司令官が反対します。クリスは護衛用のM9拳銃一丁で、どうやって武装勢力から逃げ切れるのでしょうか・・・

ひとりで歩兵戦闘車まで持っている武装勢力に立ち向かう、というところからして荒唐無稽なのですが、ともかくすっきりしない映画でした。