変わり種のサスペンス映画「マラソンマン」2013年05月14日 12時57分35秒

「マラソンマン」(Marathon Man、1976年)は同名の小説を映画化したものですが、いわゆるサスペンスものとはちょっとちがうサスペンス映画ですね。「マラソンマン」とは文字どおり、マラソンをする人のことで、ニューヨークのセントラルパークをマラソンするのが好きな主人公で、コロンビア大学院生ベーブ(ダスティン・ホフマン)が旧ナチスの陰謀に巻き込まれていく映画です。

ナチス親衛隊の歯科医だったゼル博士(ローレンス・オリヴィエ)が得意の歯科術を発揮して、誘拐したベーブに真相を知っているかどうかを白状させようと、歯にドリルを突き刺すシーンがなんと言っても、いちばん怖いですね。とくに、歯医者嫌いの人は悲鳴を上げるかも知れません。このゼル博士のモデルは言うまでもなく、ナチスの強制収容所でユダヤ人囚人たちの人体実験を行ったとされているヨーゼフ・メンゲレ博士です。この映画ではウルグアイに逃亡していますが、アメリカから大量のダイアモンドを非合法に持ちだそうとしている、という設定です。

実際のメンゲレ博士はアルゼンチンに逃亡したと言われていますが、ナチスはいまでも欧米人の悪夢であり、「ブラジルから来た少年」もナチスのアーリア人種の優生製作を描いていますね。また、フレデリック・フォーサイスの小説「オデッサ・ファイル」もナチス残党の活動を描いたもので、ジョン・ヴォイト主演で1974年に映画化されています。

この「マラソンマン」は地味な映画ですが、サスペンス好きにはぜひお奨めしたい映画です。